記録

中学3年

中3 100 中3の終わり

退院の日は会社を一日休んだ。 朝から何をやっても上の空になってしまって、やりかけた家事を途中で放り出した。ずっとソワソワしてしまっていて病院にも早めに着いてしまった。そこでいつもの窓のない細長い部屋に通されて長く待った。 不安や...
中学3年

中3 99 退院が決まった

病院に戻ったら今までいた個室に戻るのではなく、大部屋に移ることになっていたのに、今の今まで忘れていたのだそうだった。 個室にこだわっていないのならそれでもいいね。良くなってきたってことだよね。 私はそんな返事をしたのだと思う。咲...
中学3年

中3 98 根性は出さなくていい 

外泊はすぐ許可が出た。咲はこの週末に帰ってくることになった。そうすると合格者登校日までの一週間近く家にいることになる。今までになく長い外泊なのだが、どうやら退院に向けて元の環境に少しづつ慣らしていく意味らしかった。 週末の夜に会社が終...
中学3年

中3 97 また外泊の許可

夜に咲からいつも通り電話がかかってきた。いつも通りの定時連絡みたいになっていた。 「今日は学校に行ってきて私が卒業生みたいな体で卒業証書を受け取ってきたよ」と報告すると、全く関心がなさそうな「ふーん」という返事が返ってきた。今日が卒業...
中学3年

中3 96 LINEグループ抜けてすっきり

笑いが口元に残っているのを感じながら、ついでに部活の関係でつながっていた保護者のアカウントを全部友達から削除した。これからは無関係なのだからどう思われてもいい。連絡が取れなくても困らない。今までだって咲が入院したことは知っているはずなのに保...
中学3年

中3 95 保護者グループLINEを抜ける

留め金がやっと外れて、ネックレスはパールの輪っかから紐みたいになった。それを片手にぶらさげて居間に戻ると、LINE電話が鳴っていた。着信はついさっき「卒業式第二部」で会ったあやか母からだった。 出てみるとあやか母は友好的な口調...
中学3年

中3 94 卒業式第二部3

先生は咲の荷物の箱を渡した後に「中学から高校に連絡する書類があるんです。病気のことを知らせた方がいいですか?知らせないでおくこともできます」と聞いてきた。 そんな書類があったとは知らなかったが、「入院や自殺未遂のことも含めてあ...
中学3年

中3 93 卒業式第二部2

「卒業式第二部」が終わると、校長室にいた大勢の先生方はまたぞろぞろと教務室に戻っていった。校長室には私とあやか親子、それぞれの担任の先生、他に校長先生と教頭先生が残った。 すぐにあやかの担任の先生が「(あやかが学校に置いていた...
中学3年

中3 92 卒業式第二部

卒業証書を受け取るのに指定された時間は、同じ日の本番の卒業式が終わった3時間後だった。その日は先生方も礼服で学校に来ているはずだから、私が一人普段着で行ったら卒業証書を受け取るときに気まずいだろう。そんな理由で私もスーツを着て2連パ...
中学3年

中3 91 卒業式の前の日

先生の希望は卒業式に出席してほしいということだった、私も出席の方がいいと思っていた。 でもそのまま「欠席させます」と押し切った。あの子は今まで周りに気を使ってばかりで自分の気持ちを大切にしてこなかったのだと思う。だから本人の気...