中3 61 保護者面談

中学3年
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第一志望の高校に合格するためには勉強しなければいけない。でも勉強したくても頭も体も思うように動かないし辛い。そんな自分を許せないから自傷をしてしまうのではないだろうか。どうやったら自分を許せて自傷を止めさせられるんだろうか。

頼みの綱だった今日の受診も前回と同じ抗不安薬を処方されて「次に自傷したら入院」と言われて終わった。(抗うつ薬は変わった)どうしたらいいのかわからなかった。

精神科の医師は患者の症状に合った薬を処方することが主な仕事

なのだそうで、「医師なら何とかしてくれるんじゃないか」という私たちの期待は最初から的外れだったらしい。医師は魔法使いじゃなかった。

 

 

 

志望校は咲の気持ちを優先して決めるのが最良だと私は思っていた。

でも夫は違った。夫はたとえ第一志望の高校に入学できたとしても、うつ病が治らないかぎり勉強について行けなくて落ちこぼれる。だから志望校のランクを落とした方がいいという意見だった。

夫の意見はまっとうで、何も反論はできなかった。しかし私はそれでも咲が行きたい高校に行かせてやりたかった。勉強についていけなくても留年しなければいい。実樹が咲の志望校に在学中なので留年はあまりない高校だと知っていた。落ちこぼれても本人が気にしなければそれでよかった。

意見が食い違ったままでしかも両親と本人とで話し合いができない状態で保護者面談の日になってしまった。先送りは何でも良くないとしみじみ思った。

保護者面談の時になって仕方なく先生に現状をそのまま伝えた。まだ出願まで少し時間があった。公立高校の二次募集があるかどうかも先生にリサーチをお願いした。負担をかけているのはわかっていたが、引き受けてくれた。咲も同席していたがほとんど話をしなかった。

進路についての話を終えると、いいチャンスだったので最近の家での様子や診察の様子、抗うつ薬が変わったことや自傷のことなど先生に伝えた。先生はメモを取って聞いていた。今回の「ヒヤリング」で校長室へのお呼び出しは無くなったらしかった。

面談の後先生が保健の先生と咲と3人で話したいというので私は教室に一人で残って待った。

30分くらいで咲が教室に戻ってきた。少し表情が明るくなっていた。何を話したのかは聞かなかった。話さないなら話したくないのだろう。私はその(相対的にだけど)明るい表情を見るだけで救われる思いだった。それだけでもう良かった。