日渡 ユキ

中学3年

中3 80 直前模試の会場変更しなきゃ

桜井先生が応答した。折り返し電話を待っていたのだろうか。 思った通り今日の様子を聞かれたのでざっとを話した。 先生は「トークエコノミーって何なんですかね……」とどうも納得できないモヤモヤがにじみ出た感想を言った。(「ン」...
中学3年

中3 79 洗剤とマンガの話

「洗剤も無香料のものがいいんですか?」聞いてみると「なるべくなら……」という返事だった。無香料でないと持ち込めないとは言わなかった。無香料のボトル入りの洗剤を買おう、探しても見つからないときには香料入りのを買おう。今までは洗剤の香料...
中学3年

中3 78 医師と話す2

成人病棟で書いた入院診療計画書には入院の期間は2カ月と書いてあったがそれは予想される最大値ということだった。実際にはもっと入院期間が短くなる場合もあるものらしかった。 心配していた受験については 「受験に関する外出や外泊...
中学3年

中3 77 医師と話す

二宮医師との面談の日はあっという間にやってきた。その日は入院病棟に直接行くように言われていたので外来には寄らなかった。 数日前に咲から電話が来た時に「CDプレーヤーが使えるようになったからヘッドフォンと英語リスニングCDと、お...
中学3年

中3 76 担当看護師さんからの電話

受験の出願の書類を書いて中学校に提出したあと、数日してから病院から電話があった。咲の担当の看護師の相葉さんからだった。この人とは直接会ったことはまだなかった。 今後の見通しや状態の説明をするのと、病棟を移ったので書き直して...
中学3年

中3 75 病院の食事

荷物は看護師さんが持った。窓のない細長い部屋を出て咲は「じゃあまたね」と言って振り返らずに二枚目のドアの内側に戻って行ってしまった。 咲が行ってしまった後、私は咲の荷物を持っている看護師さんに「二宮医師に今回の入院について退院...
中学3年

中3 74 面会の終わり

面会の終わりに、切り出せずにいた受験の話をした。両親と本人が直接会える貴重なチャンスだったので、受験の話は最初からするつもりだった。 面会のメインの話にするつもりでいたのに、入院中の出来事を嬉しそうに話す様子を見ていたら話...
中学3年

中3 73 部活のグチのつづきと週末の面会

そんな特異な環境にいるだけで保護者の私もメンバーの咲も大きなストレスを感じていた。 練習試合になるとレギュラーの子たちの保護者はビデオカメラと三脚を持ってきて試合をすべて録画する。その録画は家で繰り返し見て批評したり研究したりする。(...
中学3年

中3 72 部活のグチ

我が子が精神病院に入院してしまっても時間は関係なく流れていった。入院してから数日で予定通り思春期病棟のベッドに空きが出た。思春期病棟の咲の担当になった相葉さんという看護師さんから電話があって、病棟を移ったことを知った。そこでも個室だ...
中学3年

中3 71 しおれた花

本当はいつ入院してもおかしくなかったんだ。大野医師はそう言っていた。 入院前提で転院したけれど、転院先の二宮医師はなぜか今までは入院させないで通院で様子を見ようと判断していた。ちょうどボーダーライン上の状態だったのだろうか。入...