日渡 ユキ

中学3年

中3 16 あのタオル

11月に入ったある日に咲は私に背中が痛いから押してほしいといって体操着を入れるカバンを持ったまま私のそばに来た。 カバンのファスナーが半分くらい空いていて、中に入っているタオルが見えた。薄手で両端に紐が結びつけてあるあのタオル...
中学3年

中3 15

私が咲がうつ病ではないかと疑いだしたころ、咲が学校を休んだ日に桜井先生が家まで様子を見にくることが出てきた。家と学校が近いこともあるだろうし、咲がこれまで優等生だったのに、あの日から学校を時々休むようになり、宿題を一切しなくなってい...
中学3年

中3 14 不調のサイン

思い返してみると不調は見え隠れしていた。でも私はそのサインに気が付かなかった。最悪の部活が終わったことでほっとしてしまっていた。部活を乗り切ったからもう大丈夫だと安心してしまい、目を離してしまっていた。 部活を引退して受験勉強...
中学3年

中3 13 うつ病を疑い出す

咲がうつ病なのではないかと思うようになったのは【バーゲン本】自殺ー10代のメンタルヘルス6 (10代のメンタルヘルス) を読んだからだった。 17ページにこういう一文がある。 自殺の危険性が高い10代はほとんどがうつ病です。...
中学3年

中3 12

実樹に咲の自殺未遂のことを話したのは当日ではなくその翌日だった。学校帰りの実樹を車で迎えにいったときに車を駐車場に停車させて時間を取り、状況を詳しく伝えた。実樹も動揺していた。 「昨日咲の部屋から大きな音がしたの。朝の7時前に...
中学3年

中3 11

(後から振り返って) この時の私の予約のとりかかたがまずかったために受診した際に医師から叱られた。私は予約を取るときに電話に出た人に「どうしました?」と聞かれて「子供が死にたいと……」としか言えなかったのだった。苦しい感情がど...
中学3年

中3 10

翌朝は何事もなかったかのようにやってきた。昨日あれだけ大きな事件が起こったのに、また朝がくることが不思議に思えた。咲が眠っているのを確認すると私は部屋から出た。 見かけだけはいつもと同じ朝を一通りこなし、咲は学校に行った。食事...
中学3年

中3 9

咲の姉の実樹が高校から帰ってくると私たちは一緒に食事をとった。少し気分が和らいだ。実樹と少し話し、最低限の家事を終わらせた後で、咲の部屋に私の寝るための布団を敷いていると咲が部屋に入ってきた。表情はうつむき加減で明るくなかった。「今...
中学3年

中3 8

安易に死のうと思うのは人生経験が少ない中学生だからだ。今辛かったとしても中学校はあと数か月で卒業する。卒業までの我慢だ。そのあと高校に行ったらもうすっかり気分も変わって今の辛さを忘れていくだろう。そう言い聞かせれば気持ちが落ち着いて...
中学3年

中3 7

夫と咲が二人で話した後で,私達は今度は親子三人で一度長い間話し合った。咲の気持ちも聞いたし、咲は私たちの言うことを聞いて自殺しないと約束した。 そして卒業まであと少しの間このまま今の中学校に通い続けることにした。もちろん辛かっ...